英検2級 過去問のやり直し方|○×でなく「なぜ外したか」を5タグで仕分ける
公開 2026.7.16
過去問を解いた。丸つけもした。でも、それで終わっていませんか。
「過去問を解いたあとのやり直し方法を教えてほしい」「解き直しの仕方が分からない」——検索でここに来た人は、だいたいこの状態だと思います。点数は出た。○と×はついた。でも、次に何をすればいいのか分からないまま、また新しい過去問に手を伸ばしてしまう。
結論から言います。過去問の本体は「解く」ではなく「やり直す」ほうです。 丸つけした直後は、間違えた理由が一番はっきり思い出せるタイミングです。ここで「なぜ外したか」を1つ書き添えるだけで、同じ間違いを繰り返さなくなります。
この記事を読み終えたら、○×の先にある「なぜ外したか」の仕分け方、技能別のやり直し手順、そして忘れた頃にもう一度復習するタイミングまで、今日から使える形で分かります。
そもそも「過去問のやり直し」とは何をすることか
まず言葉を整理します。「過去問をやる」には、性質の違う2つの作業が混ざっています。
- 解く
時間を計って、本番と同じ形式で問題に取り組む作業です。ここでは「今どのくらい取れるか」という現在地が分かります。 - やり直す
解き終わったあと、間違えた(あるいは自信なく当てた)問題1つずつに「なぜそうなったか」を確認し、次に同じことが起きないようにする作業です。
多くの人が力を入れているのは1だけです。過去問を何年分も解いて、丸つけをして、点数だけメモして、次の過去問に進む。これでは「解いた数」は増えますが、「弱点が消えていく」わけではありません。
同じ間違いを繰り返さないためには、2の「やり直す」に時間を使う必要があります。そして、やり直しの質を分けるのは、○×をつけるだけでなく、「なぜ外したか」まで見ているかどうかです。 ここから先で、その具体的なやり方を、次の4ステップで説明します。

やり直す前に、2つだけ確認する(正しい解き方の前提)
やり直しの精度は、そもそも「どう解いたか」に左右されます。次の2つが崩れていると、やり直しても正しい弱点が見えません。
- 時間を計って、本番形式で解く
時間を気にせず解いた答案は、本番の弱点を映しません。特にリーディングとライティングは同じ85分の枠を共有し、大問1(語彙・熟語)に約10分、大問2(長文の空所補充)に約15分、大問3(長文の内容一致)に約25分、要約に約15分、意見論述に約20分が目安です。時間配分の詳しい考え方は「英検2級 独学の勉強法」にまとめています。まだ解き方自体に迷っている段階なら、先にそちらを読んでから戻ってきてください。 - 大問ごとに、素点を記録しておく
「全体で何点だったか」だけでなく、大問1・大問2・大問3・リスニング(第1部・第2部)・要約・意見論述、それぞれ何問(何点)取れたかを分けて残します。このあとの「なぜ外したか」の仕分けは、大問ごとに見たほうがずっと精度が上がります。
ここで1つ、注意しておきたいことがあります。大問ごとの正答数は、あくまで自己診断のための目安です。 英検2級の合否は、リーディング・リスニング・ライティングという技能ごとのCSEスコアの合計で決まり、大問単位の合格基準というものは存在しません。「大問3が5割しか取れていないから即アウト」と早合点せず、技能全体の中でどこが弱いかを見る材料として使ってください。正確な合格ラインの読み方は「英検2級の合格点は何割?」で整理しています。
答え合わせで見るのは「正答数」でなく「手応えのムラ」
大問ごとの素点が記録できたら、まず大づかみに「どこが弱いか」を俯瞰します。
| 技能・大問 | 問題数 | 目安になる考え方 |
|---|---|---|
| 大問1(語彙・熟語) | 17問(単語約10問+熟語約7問) | 単語と熟語、どちらで落としているかを分けて見る |
| 大問2(長文の空所補充) | 6問 | 接続表現の見落としが多いか |
| 大問3(長文の内容一致) | 8問 | 言い換えの見抜きミスが多いか |
| リスニング | 30問(第1部15問+第2部15問) | 全問1回放送。聞き違いか語彙不足か |
| ライティング(要約・意見論述) | —(採点は4観点) | ○×でなく内容・構成・語彙・文法で見る |
公式の目安は「各技能おおむね6割程度の正答率の受験者の多くが合格」というものです(英検協会・2016年度第1回のデータをもとにした表現)。ですから、技能ごとに6割を大きく下回っている場合は、そこが今のいちばんの弱点だと考えられます。
ただし、ここまでは大づかみの手応えにすぎません。本当に効くやり直しは、ここから先——1問ずつ「なぜ外したか」を見ることです。
【最重要】○×でなく「なぜ外したか」を仕分ける5タグ
多くの参考書や勉強法の記事は「間違いノートを作りましょう」「なぜ間違えたか考えましょう」までは言います。でも、具体的に何を書けばいいかまでは示してくれません。ここでは、○×の代わりに使える5つのタグを渡します。1問ずつ、このどれかに当てはめてください。
| タグ | 見分け方 | 次の一手 |
|---|---|---|
| ①単語・熟語を知らない | 選択肢や本文の意味そのものが分からなかった | 単語・句動詞の復習リストに追加する |
| ②読み違え・勘違い | 単語は分かるのに、文脈・指示語を取り違えた。または本文と同じ語がそのまま入った選択肢に釣られた | 言い換え照合(読解)・聞き違いの原因確認(リスニング)を練習する |
| ③時間切れ | 空欄のまま出した・最後の数問を考えずにマークした | 時間配分を見直す |
| ④ケアレスミス | 解き直すと、その場で即座に正解できる | 実力の問題ではない。見直しの手順を1つ作る |
| ⑤根拠なく勘 | 正解・不正解にかかわらず、選んだ理由を自分で説明できない | ○でも要注意タグ。「できた」に数えず、復習対象に残す |

それぞれ、もう少し詳しく説明します。
①単語・熟語を知らない。 これがいちばん多いタグになる人がほとんどです。特に大問1は、単語約10問・熟語約7問という構成なので、ここで外した問題は素直に語彙の復習リストに移してください。
②読み違え・勘違い。 単語の意味は分かっているのに、答えを外している場合です。読解なら「本文の言い換え」を「本文と同じ語の罠」と間違えているケース、リスニングなら「聞こえた語」と「本文の意味」がズレているケースが典型です。このタグが多い人は、語彙よりも「照合のしかた」を練習したほうが伸びます。
③時間切れ。 実力があっても、時間が来て埋めきれなかった問題です。これは語彙や読解力の問題ではなく、時間配分の設計ミスです。同じ間違いを繰り返さないためには、単語を増やすより先に、時間の使い方を直す必要があります。
④ケアレスミス。 マークがずれていた、符号を見落とした、単純な計算ミスのような、解き直せばすぐ正解できるものです。実力の証拠にはならないので、焦って対策を増やす必要はありません。ただし本番でも同じミスが起きないよう、「見直しの手順」を1つだけ決めておくと安心です。
⑤根拠なく勘。 ここが、多くの人が見落としている一番大事なタグです。「正解していたから大丈夫」ではありません。 たまたま合っていた問題を「できた」に数えると、本当の実力より高く見積もってしまいます。これは、こなした量ではなく初見でどれだけ解けるかという物差しを歪める、一番の原因です。理由を説明できない問題は、正解していても復習対象として残してください。
なお、ライティング(要約・意見論述)は○×そのものがありません。ここは4観点(内容・構成・語彙・文法)ごとに、「なぜ点が伸びなかったか」をタグ付けする形になります。詳しいやり直し方は次の章で説明します。
タグから、技能別のやり直し手順へ
タグをつけたら、技能ごとに具体的な手を打ちます。
読解(大問2・3)のやり直し
②のタグがついた問題は、「正解の選択肢が、本文のどこの言い換えか」を自分の言葉で言い直してみてください。英検2級の長文問題は、ほぼ毎回「本文の言い換え」が正解になっており、本文と同じ語がそのまま入った選択肢はむしろ罠であることが多いです。言い換えの照合パターンや、接続表現・代名詞の追い方は「英検2級の長文読解のコツ」に整理しています。
リスニングのやり直し
リスニングは、聞き終えた直後にスクリプトを開き、「なぜここが聞き取れなかったのか」を確認する作業がそのまま「やり直し」になります。原因はだいたい3つです。単語を知らなかった(①)、音がつながって別の音に聞こえた(②)、速さに処理が追いつかなかった(②に近い)。原因を特定したら、その箇所をシャドーイングで繰り返してください。英検2級のリスニングは第1部・第2部とも全問1回しか放送されないので、「1回で取りきる」感覚を鍛える意味でも、この確認作業は欠かせません。詳しいやり方は「英検2級 リスニングのコツ」へ。
ライティング(要約・意見論述)のやり直し
要約・意見論述は、模範解答と自分の答案を並べ、型のどのスロット(要約なら導入・利点・However+欠点、意見論述なら立場・理由1・理由2・結論)が抜けていたかを確認します。ここで「写経」——模範解答をそのまま書き写して型を体に入れる練習——をする人もいますが、丸ごとの丸写しにこだわる必要はありません。実は公式の模範解答自身、本文のキーフレーズを最大10語程度、そのまま使っている回もあります(2024年度第3回の実施回で実測)。避けるべきは1文をまるごと書き写すことで、内容フレーズの部分的な再利用や言い換えは、むしろ語彙点を上げるプラスの技術です。型と表現の詳細は「英検2級 要約問題の書き方」「英検2級 意見論述の書き方」「英検2級 ライティングで使える表現」へ。誰かに答案そのものを見てもらいたい場合は、添削の選択肢を「英検2級の英作文・要約の添削はどこで受けられる?」で比較しています。
大問1(語彙・熟語)のやり直し
大問1で外した問題は、ほとんどが①のタグ(知らなかった)になるはずです。大問1は17問で、単語約10問・熟語約7問という構成。2024年度以降の実施6回・102問を数えたところ、仮定法や倒置のような文法規則そのものを問う問題は0問でした(「英検2級の難易度は上がった?」で実測を確認しています)。つまり、大問1で間違えた問題を「文法をやり直す」方向で復習するのは的外れです。単語・熟語(句動詞)の復習リストに移してください。よく出る句動詞は「大問1は熟語(句動詞)で4割取れる」、実際に出た熟語の一覧は「英検2級 熟語一覧」にまとめています。
忘れた頃にもう一度——やり直しの復習タイミング
「なぜ外したか」をタグ付けして終わり、にしないでください。ここで確認した弱点は、放っておくとまた忘れます。
特に①(単語・熟語を知らない)のタグがついた語は、そのまま単語学習と同じ復習リズムに乗せるのが効率的です。覚えた当日に通しで確認し、翌日にざっと見直し、3〜4日後に覚えているか確かめ、1週間後・1ヶ月後にもう一度触れる——この「忘れたころにもう一度」という間隔が、長期の記憶に変わる鍵です。詳しい復習タイミングの考え方は「英検2級 単語の覚え方」に整理しています。
②〜⑤のタグは、単語のように暗記で埋まるものではありません。ここで大事なのは、同じ過去問をすぐもう一度解き直すことと、やり直しは別物だという点です。次の章で、この違いを詳しく説明します。
過去問は「終わらせる山」ではない
ここまで読んで、「じゃあ過去問は何年分やればいいのか」と思った人もいると思います。正直に答えます。年数を増やすことは、目的ではありません。
過去問は有限です。「残り◯年分を、残りの日数で割る」という計算をして、それを消化することをゴールにすると、途中でつまずきます。理由は単純で、過去問を解いた本数と、実力は比例しないからです。何年分もの過去問を浅く解くより、直近の数回分を深くやり直し、同じタグの間違いが出なくなるまで繰り返すほうが、弱点は確実に消えていきます。
さらに、ここでもう1つ大事な注意点があります。答えを覚えてしまった過去問は、「もう一度解いて点数を測る」という目的には使えなくなります。 同じ問題を繰り返し解いて点数が上がっても、それは実力が伸びたのではなく、答えを覚えているだけかもしれません。唯一正直な物差しは、まだ解いていない初見の問題を、本番と同じ時間で解いた結果です。「何年分こなしたか」ではなく「初見で何点取れたか」を基準にする考え方は、「英検2級が受かる気がしないとき」「英検2級に何度も受からない理由」でも詳しく扱っています。
逆に、市販の予想問題ドリルや模試を解いたら過去問より点が下がって不安になった、という場合は「予想問題ドリルと過去問で点が違うとき、その差から読めること・読めないこと」を読んでください。同じ人が解いても、初見だったか・時間を計ったか・通しで解いたかで点は動きます。
ただし、答えを覚えてしまった過去問が無意味になるわけではありません。「なぜ外したかのタグ付け」と「ライティングの型の写経」には、そのあとも使えます。過去問は「使い切る山」ではなく、「弱点を見つけるための道具」として最後まで働かせてください。
試験直前で、やり直しに割ける時間そのものが少ない場合は、「英検2級の直前対策」で残り日数別の絞り方を確認してください。
まとめ
- 過去問の本体は「解く」でなく「やり直す」ほう。丸つけした直後がいちばん間違いの理由を思い出しやすい
- やり直す前に、時間を計って本番形式で解くこと・大問ごとに素点を記録することの2つを整える
- 答え合わせでは、まず技能・大問ごとの手応えのムラを俯瞰する(ただし大問レベルの正答数は自己診断の目安。合否は技能ごとのCSE合計で決まる)
- 1問ずつ、○×でなく「なぜ外したか」を5タグ(単語・熟語不足/読み違え・勘違い/時間切れ/ケアレスミス/根拠なく勘)で仕分ける。正解でも「勘」で当てた問題は要注意タグ
- タグに応じて技能別に手を打つ。読解は言い換え照合、リスニングはスクリプト確認とシャドーイング、ライティングは型の確認と部分的な写経、大問1は単語・熟語の復習(文法のやり直しは的外れ)
- 単語・熟語のタグは、忘れたころにもう一度出会う復習リズムに乗せる
- 過去問は「終わらせる山」ではない。年数でなく、同じタグの間違いが再発しなくなるまでやり直す。唯一正直な物差しは、初見×本番形式で解いた実点
丸つけをして終わらせず、「なぜ外したか」を1つ書き添えるところから始めてください。それだけで、次に解く問題の景色が変わります。過去問を何年分解いたかではなく、同じ間違いを二度としないこと。それが、やり直しの唯一のゴールです。
よくある質問
- Q過去問は何年分やればいいですか?
- A年数を増やすより、同じタグの間違いが再発しなくなるまで繰り返すほうが効果的です。直近3〜5回分を深くやり直すほうが、多くの年数分を浅く解くより弱点は消えていきます。
- Q答えを覚えてしまった過去問は、もうやり直す意味がないですか?
- A「もう一度解いて点数を測る」という目的には使えなくなりますが、「なぜ外したかのタグ付け」や「ライティングの型の写経」には引き続き使えます。本番形式で今の実力を測りたいときは、まだ解いていない初見の問題に切り替えるのが正確です。
- Q間違いノートは作ったほうがいいですか?
- Aノートを丁寧に作り込むこと自体が目的化すると続きません。○×でなく「なぜ外したか」のタグを一言添えるだけで十分です。単語・熟語のタグは、単語帳やアプリの復習機能にそのまま移すのが効率的です。
- Qやり直しは何回すればいいですか?
- A目安は「同じタグの間違いが出なくなるまで」です。1回で終わらせず、忘れたころにもう一度、同じ問題(または似たタグの新しい問題)に触れるほうが定着します。
- Q大問ごとに6割取れていれば安心ですか?
- A大問レベルの正答数は、あくまで自己診断の目安です。合否は技能(リーディング・リスニング・ライティング)ごとのCSEスコアの合計で決まり、大問別の合格基準というものはありません。
- Qリスニングのやり直しは、何を確認すればいいですか?
- A聞き取れなかった箇所をスクリプトで確認し、「単語を知らなかったのか」「音がつながって聞こえたのか」「速さに処理が追いつかなかったのか」を特定します。特定したら、その箇所をシャドーイングで繰り返して、音を意味に変える速さを鍛えます。